「私のエコバッグ雑菌だらけ…？」原因不明の食中毒に苦しめられる子持ち家族の実情

「エコバッグの使用が怖くなってから、アマゾンでレジ袋を買って使っています。毎回スーパーで買うよりかなり安いので」

レジ袋が有料化となって以来、環境に優しいと信じて使い続けてきたエコバッグを、一部を除いて全て捨てた、と話すのは徳武美月さん（仮名）。40代の会社員だ。

「布製や『かわいい』というだけの理由で買ったエコバッグは食材以外を買う時のために取ってありますが、スーパーに持参していたバッグはすべて処分しました」

美月さんがこう判断するに至った経緯について聞く。

「先月、家族で私が作った晩ご飯を食べたあと、夜遅くなって子供2人と夫と、私も、みんなが次々に不調になりました。次男は2回、あとは全員1回ずつ嘔吐がありました。みんなお腹もくだしてしまいました」

犯罪でもおかしたかのように神妙な様子で話す美月さんは、自身が最も症状が軽かったため、不調の中でも家族の看護に必死になった。

「症状が軽いといっても、子供は嘔吐後に水を飲んでまた吐いたので、とにかく脱水が怖くて、根気よく少しずつ飲ませました。できれば受診したかったですが、私たち親も調子が悪かったのでどうにもなりませんでした。一時はみんなでトイレの取り合い状態に……」

いち早く症状が落ち着いた美月さんが、一番最初に気になったのが家族の不調の原因だ。

「みんなの症状やタイミングから、夕食の何かにあたったことは間違いないと思いました。でも、その原因食材が思い当たらなかったんです」

その日の夕食はチキンカツと野菜サラダ、そして味噌汁だったという美月さん。

「チキンカツは時間をかけて揚げましたし、子供が好きでよく作りますが、今まで問題が起きたことはありません。野菜サラダも、その日に買ってきたものばかりを使って、もちろんしっかりと洗いました。調理器具も洗浄はもちろん、定期的に消毒もしています」

日頃から食あたりには気を使っていただけに、今回の家族の不調はかなりショックだったと美月さんは言う。

「翌日には夫もかなり回復し、会社も遅刻だけで済みましたが、夫婦で原因について話しているうちに、夫が『可能性のあるものを全部洗い出そう』と言い出したのです。そんなの、すでに私の頭の中で何度もしたのに……と思いましたが」

そうは言っても、原因を究明したい思いは同じ。美月さんはまずひとつずつの食材の管理状態や洗浄の仕方・調理方法などを振り返り、夫と共有した。

「夫は、味噌汁は?と言い出しました。確かに味噌汁って意外と怖いって聞きますが、作りたてを食べさせていますし、いつもと同じ要領で作って食べているので考えにくいと思います」

実際に体調が戻ったあと、同じ材料と方法で味噌汁を再度作ったが、不調はなかった。

「じゃあもう野菜サラダだな、と夫は言いました。私もそう思いましたが、野菜はすべて新しいもので洗浄もしっかり行っているので、もう何を疑えばいいかわからなくなってしまったんです」

そこで、夫が「食中毒　意外な原因」としつこく検索した結果、目をつけたのが「エコバッグ」だったという。

「夫が見つけてきたのが農水省がエコバッグの衛生管理について注意喚起するPDFでした。それを見た夫は勝ち誇ったように『だから前から俺はエコバッグなんてエコじゃねえって言ってたんだよ』と言い始めました。食中毒うんぬんより、そっちメインの話になってしまって、正直めんどくさかったです」

美月さんにこう言わしめた農水省が公開するPDFと夫の言い分の中身とは?
記事後半にて詳報する。

取材/文:中小林亜紀

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